2つ・3つの数の 最大公約数と最小公倍数の求め方
「すだれ算(連除法)」はなぜその計算で答えが出るのか? 3つの数の計算で「割れない数を下ろす」本当の理由を、素因数分解の考え方から視覚的に解き明かします。
1. 2つの数の最大公約数のすだれ算
例として、\(30\) と \(36\) を使って、最大公約数の求め方とその「理由」を解説します。
(1) 計算方法
2つの数に共通して割れる数(素数)で、これ以上割れなくなるまで割り進めます。最大公約数は、左側に並んだ数を縦に掛け算して求めます。
左側に並んだ共通して割れる数( \(\textcolor{#3b82f6}{2}\) と \(\textcolor{#ec4899}{3}\) )を掛けるので、最大公約数は以下のようになります。
(2) なぜ最大公約数は「縦だけ」を掛けるの?
数を構成する「部品(素因数)」を考えてみましょう。
最大公約数とは、2つの数に「共通している一番大きな部品のかたまり」のことです。それぞれの部品リストを見てみましょう。
36 = 2 × 3 × 2 × 3
すだれ算の「左側に割り出した数(縦に並ぶ数)」は、まさに両方に共通して含まれている部品(\(\textcolor{#3b82f6}{2} \times \textcolor{#ec4899}{3}\))そのものです。
「約数(元の数を割り切れる数)」ではなくなってしまいます!
一番下にある数は、共通していない「それぞれの独自の部品」なので、公約数(共通の約数)を求める時には掛けてはいけません。
左の数(縦)= 共通の部品
最大公約数は「共通している部分だけ」を集めたものなので、縦に並んだ数だけを掛け算します。
2. 2つの数の最小公倍数のすだれ算
同じく \(30\) と \(36\) を使って、最小公倍数の求め方を解説します。
(1) 計算方法
最大公約数の時と同じように割り進めますが、最小公倍数の場合は左の数と下の数をL字に掛け算して求めます。
左側の数と下側の数をL字にすべて掛けるので、最小公倍数は以下のようになります。
(2) なぜ最小公倍数は「L字」に掛けるの?
最小公倍数とは、両方の数を過不足なく作り出せる「全部のせの部品」のことです。図(ベン図)で視覚的に整理してみましょう。
単純に \( 30 \times 36 \) をしてしまうと、共通部品である「\(\textcolor{#3b82f6}{2}\) と \(\textcolor{#ec4899}{3}\)」が2回ダブって掛け算されてしまいます。
すだれ算では、縦(左)が「共通部品」、横(下)が「独自の部品」と整理されます。これらを「L字」に掛けることで、ダブりを防ぎつつ、必要な部品を過不足なくすべて集めることができるため、最小公倍数が求まるのです。
下の数(横)= 独自の部品
最小公倍数はダブりを除いた「全部のせ」なので、共通部品(左)と独自部品(下)をL字に全て掛け算します。
3. 3つの数の最大公約数のすだれ算
ここから少しルールが変わります。\(12, 30, 36\) の3つの数について考えます。
(1) 計算方法
最大公約数を求める時は、「3つすべて」を割り切れる数だけで割ります。2つしか割れない数では進めてはいけません。
3つすべてを割れるのは \(\textcolor{#3b82f6}{2}\) と \(\textcolor{#ec4899}{3}\) なので、最大公約数は以下のようになります。
(2) なぜ「3つすべて」を割り切れる数で割るの?
公約数とは「3つの数すべてに共通する約数(部品)」のことです。それぞれの部品リストを見てみましょう。
30 = 2 × 3 × 2 × 5
36 = 2 × 3 × 2 × 3
3つすべてが持っている共通部品は「\(\textcolor{#3b82f6}{2} \times \textcolor{#ec4899}{3}\)」だけです。
もし「2つだけ」を割り切れる数で進めてしまうと、割り切れないもう1つの数はその部品を持っていません。
30は紫の部品「2」を持っていないため、割り切れません!
(30 ÷ 12 = 割り切れない)
このように、「3つの数すべてに共通する部品」ではなくなってしまうため、最大公約数を求める時は、必ず「3つの数すべてが持っている部品(すべてを割り切れる数)」だけで計算を止めなければなりません。
3つの数の最大公約数を求める時、うっかり「2つだけ割れる数」で次へ進んでしまうミスが多発します。
必ず「3つすべてが割れる数」だけで終わらせましょう。
4つや5つの数の最大公約数をすだれ算で求める場合も、考え方は全く同じです。
「すべての数に共通して割れる数」だけで割り進めます。1つでも割れない数があれば、そこで計算ストップです。
4. 3つの数の最小公倍数のすだれ算
同じく \(12, 30, 36\) を使って、最小公倍数の求め方を解説します。
(1) 計算方法と特別なルール
最小公倍数を求める時は、「2つだけ」でも割れる数があれば割って進めます。
この時、割れない数はそのまま下に下ろします。最後に全体をL字に掛けます。
L字に並んだすべての数を掛け合わせるので、最小公倍数は以下のようになります。
すだれ算の左と下に出てきた数字は、それぞれの数を構成する「部品(素数)」と完全に対応しています。
30 = 2 × 3 × 2 × 5
36 = 2 × 3 × 2 × 3
(2) なぜ「2つでも」割って進め、割れない数は「下ろす」の?
最小公倍数を作るには「3つの数すべての倍数になる=すべての数の部品をダブりなく集める」必要があります。
もし、最大公約数の時のように「3つすべてに共通する部品」だけで計算を止めてしまったらどうなるか、図で見てみましょう。
このままL字に掛けてしまうと…
正しい最小公倍数の「180」にならず、大きくなってしまいます!
なぜ答えが大きくなってしまったのでしょうか?
間違って掛けた式の中の、すだれ算の下に残った数字(\(\textcolor{#ef4444}{2}, \textcolor{#f59e0b}{5}, \textcolor{#8b5cf6}{6}\))に着目して、それぞれの数を構成する「部品リスト」と見比べてみましょう。
30 = 2 × 3 × 2 × 5
36 = 2 × 3 × 2 × 3
(2 × 3) × 2 × 5 × 6
■「2つでも割って進める」理由
上の分解式を見ると、すだれ算の3段目にあった「\(\textcolor{#8b5cf6}{6}\)」の中には「\(\textcolor{#ef4444}{2} \times \textcolor{#10b981}{3}\)」が隠れていました。
そのため、ここで計算を止めてそのまま掛け算してしまうと、部品リストにもある通り、12の残りの「\(\textcolor{#ef4444}{2}\)」と、36の残りの中に隠れていた「\(\textcolor{#ef4444}{2}\)」が無駄に2回掛け合わされてしまい、答えが2倍(360)に膨らんでしまったのです。
すだれ算で「2つだけでも割る」というのは、「2つだけでも共有できる部品(今回の\(\textcolor{#ef4444}{2}\))」をさらに見つけ出して1つにまとめ、ダブりを省いて数を「最小」に抑えるための作業なのです。
■「割れない数はそのまま下ろす」理由
\(30\) が持っている「\(\textcolor{#f59e0b}{5}\)」は、他の数とは共通していませんでした。しかし、3つの数すべての倍数を作るためには、\(30\) を構成する「\(\textcolor{#f59e0b}{5}\)」という部品が絶対に必要です。
部品「5」がないため、30の倍数にはなれません!
(36 ÷ 30 = 割り切れない)
割れなかった数をそのまま下ろすのは、「他の数とはまとめられなかったけど、全体を作るためには絶対に必要な独自の部品だから、無くさないように取っておくね」という意味なのです。
この考え方は、3つ以上の数の最小公倍数を求める時の「本質」です。
「ルールだから下ろす」と暗記するのではなく、「すべての数の要素を欠かさずに集めるために、仲間外れになった部品をちゃんと保管している」とイメージすると、計算ミスも減り、納得して計算できるようになります。
4つや5つの数の最小公倍数を求める場合も、ルールは3つの時と同じです。
「2つだけでも割れる数」があれば割り進め、割れない数はそのまま下ろします。最後にL字にすべて掛け合わせればOKです。
求めた \(180\) は、
\(180 \div 12 = 15\)
\(180 \div 30 = 6\)
\(180 \div 36 = 5\)
となり、確かにすべての数の公倍数になっています。