自然と調和した持続可能なまちづくりへの道のり
2025年度特集
東京都西多摩郡日の出町は、東京都心から西へ約40〜50kmの距離にある自然豊かな町です。秩父多摩甲斐国立公園の東玄関口として、町のシンボルである日の出山(標高902m)を有し、四季折々の自然の恵みを享受できる環境にあります。面積は28.07km²、人口は約16,000人(2025年現在)で、都心へのアクセスと豊かな自然環境が共存する魅力的な町です。
日の出町は自然環境と共生しながら発展してきた歴史を持ち、今日では都市機能と自然が調和した「住みよさ」を追求するまちづくりを進めています。地域コミュニティの絆を大切にしながら、子育て支援や高齢者福祉に力を入れ、「みんなでつくろう 日の出町!」をスローガンに、安心・躍進・自立のまちを目指しています。
面積
28.07km²
人口
16,337人
2025年4月現在
世帯数
7,529世帯
昭和30年(1955年)に旧大久野村と旧平井村が合併して日の出村が誕生しました。当時は人口8,487人、1,522世帯でした。村名は日の出山から命名されました。日の出山のように日の出の勢いで成長するように、と当時の東京都総務局長 細田義安氏により「日の出村」と命名されました。
昭和49年(1974年)6月1日、日の出村から日の出町へと町制が施行されました。東京都内で最も新しい町の誕生でした。昭和40年~50年代にかけて住宅団地の造成などにより人口が急増したことが背景にありました。
平成に入り、東京都三多摩地域の廃棄物広域処分場を受け入れるという大きな決断をしました。地元第3・第22自治会や町民の方々等と、「ごみ問題」に直面しながら幾多の困難を乗り越えてきました。この経験が環境先進都市としての道を切り開くことになります。
平成19年(2007年)6月、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)日の出インターチェンジが開通しました。これにより、アクセスが飛躍的に向上し、町の交通利便性が大きく改善されました。
平成19年(2007年)10月、イオンモール日の出が開業しました。桜木地区土地区画整理事業とあわせて、町の商業環境が大きく変化し、多くの来訪者で賑わうスポットとなりました。
平成27年(2015年)の国勢調査では、町の人口が17,325人となり、平成22年から4.05%増加しました。東京都内の三多摩地域では、12の市町村が人口減少になっている中で、日の出町は増加率が三多摩30市町村中第2位となりました。
日の出町の歴史は林業と農業が中心でした。スギ・ヒノキ等の林業が盛んで、質の良い木材として知られていました。また、山間部の石灰岩を活用したセメント産業も発展しました。
特徴的な産業として、とうばや棺おけを作る木工業が盛んで、日の出町で作られたとうばやごま札は全国のお寺などに販売されています。棺おけの生産では日本有数の生産地として知られていました。
農業では、稲作を中心に野菜や果物の生産が行われ、近年では日の出トマトなどの特産品も生まれています。また、町内には江戸時代末期から多くの蔵が造られ、現在も157棟の蔵が残されており、貴重な文化遺産となっています。
日の出町の人口は、2020年国勢調査では16,958人で、2015年の17,446人から減少に転じました。高齢化率は38.6%と高く、東京都平均(23.1%)を大きく上回っています。町の特徴として、介護保険施設等が多いために、高齢者人口が特に多くなっています。
町内の65歳以上の人口(老年人口)は2020年以降減少傾向で推移していくことが見込まれ、生産年齢人口は2030年以降減少に転じ、年少人口は2020年以降減少に転じることが予測されています。
12.9%
年少人口
(0-14歳)
48.5%
生産年齢人口
(15-64歳)
38.6%
老年人口
(65歳以上)
現在の日の出町は、第1次産業(農林業)の縮小と、第3次産業(サービス業)の拡大が進んでいます。圏央道日の出インターチェンジの開通やイオンモール日の出の開業により、商業環境や交通アクセスは飛躍的に向上しました。
特産品としては「日の出トマト」「ねぎラー油」「ブルーベリージャム」「ゆずジャム」「あおうめジャム」などが知られています。また、木工業や製材業も引き続き町の重要な産業となっています。
観光面では、日の出山や白岩滝などの自然景観を活かしたハイキングコースが人気を集めています。四季を通して多くのハイカーが訪れる人気スポットとなっており、自然環境を活かした観光振興が図られています。
次世代育成クーポンの交付や青少年育成支援金の支給など、子育て世代を支援する福祉施策を展開。令和6年10月からは学校給食費の無償化を実施。
70歳以上の方の医療費助成など、高齢者に優しいまちづくりを推進。地域包括ケアシステムの構築による、住み慣れた地域での暮らしをサポート。
ごみの減量化・リサイクルの推進、自然環境の保全と公園・緑地の整備など、環境先進都市を目指す取り組みを展開。
日の出町では、令和8年度(2026年度)から令和15年度(2033年度)までを計画期間とした『第六次日の出町長期総合計画』の策定に取り組んでいます。この計画は町の最上位計画であり、まちの将来像や基本理念、政策の方向性を示す「基本構想」と、「基本構想」を実現するための具体的な取組を掲げた「基本計画」の2層構成により、まちづくりを推進していきます。
「人にやさしく 住みよいまちづくり」未来への一歩を踏み出しましょう
— 田村みさ子 日の出町長
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日の出町の人口は2040年には15,667人まで減少すると予測されています。しかし、町では積極的な施策により、2060年に13,600人の人口確保を目指しています。
人口減少と高齢化が進む中で、若い世代の定住促進や子育て環境の充実、高齢者が健康で安心して暮らせる環境づくりなどに取り組み、人口減少の緩和と活力あるまちづくりを進めていく計画です。
16,650人
2010年
17,368人
2015年
18,005人
2020年(目標)
13,600人
2060年(目標)
行政サービスのデジタル化や業務効率化、町民のデジタルリテラシー向上支援など、デジタル技術を活用したまちづくりを進めます。
脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギー対策、循環型社会の構築などに取り組みます。
老朽化するインフラの計画的な更新や、災害に強いまちづくりを進め、安全・安心な生活環境を確保します。
住民の文化・スポーツ活動の拠点となる総合文化体育センターの設置を推進し、健康増進や地域交流の場を創出します。
あきる野市が進める武蔵引田駅北口土地区画整理事業は、JR五日市線武蔵引田駅の北側に位置する約19.5haの土地を対象に、計画的な土地利用転換を推進する事業です。約71億円の事業費をかけ、令和14年(2032年)9月30日までの事業完了を目指しています。
この事業では、これまで主に農地として利用されてきた土地について、職住近接による住・商・工・農のバランスの取れた利便性の高い複合市街地への転換を図り、駅前広場や区画道路、公園等の都市基盤を整備します。
令和7年(2025年)現在、保留地の申込順による随意契約販売が進められています。住宅用地や商業用地など様々な用途の土地が整備され、新たな住民や事業者の誘致が進んでいます。
あきる野市と日の出町では、老朽化が進む学校給食センターの更新に当たって、施設の集約・統合を図り、共同による整備・運営を進めるため、令和3年(2021年)2月5日付で「新学校給食センターの建設及び運営に関する基本合意書」、同年8月24日付で「あきる野市・日の出町新学校給食センター共同整備に関する基本協定書」を締結しました。
この新学校給食センターは、武蔵引田駅北口土地区画整理事業地内に建設される予定で、令和7年度(2025年度)の建設工事着手、令和8年度(2026年度)の工事竣工及び稼働を目標に事業が進められています。
この事業は、日の出町とあきる野市の連携強化と効率的な行政運営の実現に向けた重要な取り組みであり、両自治体の子どもたちに安全でおいしい給食を提供するための基盤となります。両自治体では令和6年度(2024年度)から給食費の無償化も実施されており、子育て支援の充実が図られています。
人口減少社会において、自治体間の広域連携は行政サービスを効率的に提供するための重要な手段となっています。あきる野市と日の出町の学校給食センター共同整備は、その好事例といえます。
この取り組みは、施設整備コストの削減や運営の効率化だけでなく、食材の共同調達による地産地消の推進や、災害時における相互支援体制の強化など、多くのメリットをもたらすことが期待されています。
武蔵引田駅の北口整備により、日の出町へのアクセスが向上し、観光客の増加や地域間交流の活性化につながることが期待されます。
区画整理事業による商業施設の集積は、日の出町民の買い物環境の向上にもつながり、地域経済の活性化に寄与します。
学校給食センターの共同整備をはじめ、あきる野市と日の出町の連携強化により、効率的な行政サービスの提供が可能になります。
あきる野市・日の出町・檜原村で組織する「秋川流域Eツーリズム推進検討会」では、持続可能な地域を目指し、秋川流域の観光まちづくりを進めています。武蔵引田駅の整備は、この広域観光の玄関口としての役割も果たすことになります。
また、両市町は共に豊かな自然環境を有しており、環境保全と経済成長を両立させる「地域循環共生圏」の形成を目指した取り組みも進めています。武蔵引田駅周辺の整備と合わせて、自然との共生や持続可能な地域づくりを推進していくことが重要です。
日の出町は、1955年の旧大久野村と旧平井村の合併から始まり、1974年の町制施行、そして東京都三多摩地域の廃棄物広域処分場の受け入れという大きな決断を経験してきました。「ごみ問題」を乗り越え、環境先進都市への道を歩み始めた日の出町は、2007年の圏央道日の出インターチェンジの開通やイオンモール日の出の開業によって、大きな転機を迎えました。
豊かな自然環境と都市的な利便性を兼ね備えた町として、子育て支援や高齢者福祉に力を入れた「人にやさしい住みよいまちづくり」を推進してきました。その結果、2015年には人口が17,325人に達し、三多摩地域では数少ない人口増加自治体となりました。
しかし、2020年以降は人口減少に転じ、高齢化率も上昇するなど、新たな課題に直面しています。この状況に対応するため、第六次長期総合計画の策定に取り組み、持続可能なまちづくりを目指しています。
日の出町は、首都圏に位置しながらも豊かな自然環境を有する魅力的な町です。過去の苦難を乗り越え、住民とともに歩んできた歴史を礎に、「安心・躍進・自立」をキーワードに、持続可能なまちづくりを進めています。
武蔵引田駅北口土地区画整理事業との連携や、あきる野市との学校給食センター共同整備など、周辺自治体と協力しながら、効率的で質の高い行政サービスの提供を目指しています。
人口減少・少子高齢化という大きな課題に直面する中、「みんなでつくろう 日の出町!」のスローガンのもと、町民と行政が一体となって、未来に向けた新たな一歩を踏み出しています。これからも、自然と共生し、すべての世代が安心して暮らせる、持続可能な「住んで良かった日の出町!」の実現に向けて、着実な歩みを続けていくことでしょう。