「普通」vs「各駅停車」

同じようで違う、JRの列車種別の謎を解き明かす

JR東日本の公式見解:ダイヤの「性格」による使い分け

JR東日本によると、「普通」と「各駅停車」という2つの種別は、単に停車駅の数を表しているわけではありません。その違いは、路線の運用上の特性、つまり「列車ダイヤ」か「電車ダイヤ」かという根本的な違いに基づいています。これにより、駅の放送や案内表示も使い分けられています。

🚄 普通列車

「列車ダイヤ」の路線

  • 特徴:特急や貨物など多様な列車が混在
  • 運行区間:比較的、長距離を走行
  • 駅放送:列車がまいります」

代表路線・停車駅の例

東海道線:東京 - 新橋 - 品川 - 川崎 ...

宇都宮線・高崎線:上野 - 尾久 - 赤羽 - 浦和 ...

🚃 各駅停車

「電車ダイヤ」の路線

  • 特徴:均質な車両が高頻度で運行
  • 運行区間:比較的、短・中距離を走行
  • 駅放送:電車がまいります」

代表路線・停車駅の例

京浜東北線:東京 - 有楽町 - 新橋 - 浜松町 ...

山手線:全駅に停車

かつての逆転現象:「快速」より速い「普通」

この「列車ダイヤ」と「電車ダイヤ」の違いから、過去には停車駅の数が逆転する興味深い現象が起きていました。通常、「快速」は「普通」よりも停車駅が少ないはずですが、一部の路線ではそうではありませんでした。

Case 1: 常磐線(〜2004年)

複々線化当初、土浦方面へ向かう中距離の「普通列車(列車ダイヤ)」は、短距離の「快速電車(電車ダイヤ)」が停車する三河島や南千住を通過していました。このため、停車駅の数が逆転し、以下のような構図になっていました。

停車駅の序列:

普通 < 快速 < 各駅停車

Case 2: 中央線(〜1996年)

同様に、甲府方面から新宿へ乗り入れていた「普通列車(列車ダイヤ)」は、速達性の高い列車でした。新宿〜立川間では、通常最速種別である「中央特快」よりも停車駅が少なく、最速達として運行されていました。

駅名
普通列車
(中央線)
中央特快
(中央線)
新宿
中野
三鷹
国分寺
立川
日野
豊田
八王子
西八王子
高尾

△:当時の新宿始発の中央特快は中野を通過