2025年10月改定

東京都 最低賃金

現状のポイントと今後の見通し【詳細解説】

引き上げ額の目安は? (中央審議会)

今年度の引き上げ目安 (全国平均)

+57円前後 (約5%超)

昨年度の+51円を上回る大幅アップが有力。背景には、持続的な物価高や、2年連続の高水準となった春闘での賃上げの流れがあります。

過去の引き上げ額推移

2024年:
+51円
2023年:
+41円
2022年:
+31円

政府目標: 全国平均1,500円

「2020年代のうちに達成」という目標に向け、年間約90円(7%以上)のペースが必要とされ、引き上げピッチが加速しています。

都道府県ランク別目安

経済状況に応じA~Dの4ランクに分けて目安が示されます。東京は最高位のAランク。地域間格差の是正も大きなテーマです。

いつ決まる?決定までの詳細スケジュール

7月下旬~8月前半

中央審議会が「目安」を答申

厚生労働大臣の諮問機関が、全国的な引き上げ額の指針を決定。これが全ての都道府県の議論の出発点となります。

8月後半まで

各都道府県の地方審議会が答申

国の目安を参考にしつつ、各地域の経済実態(企業の支払い能力、労働者の生計費など)を考慮して具体的な改定額を審議・決定します。

8月下旬~9月上旬

最終決定・官報公示

労使からの異議申し立て期間を経て、問題がなければ都道府県労働局長が正式に決定。官報で公示され、法的な効力を持つようになります。

10月1日~

新しい最低賃金が発効

この日から、全ての事業主は新しい最低賃金額以上の時給を支払う義務が生じます。

いくらになる?現行額と影響

東京都の最低賃金シミュレーション

現行 (2024年)

1,163

見込み (2025年)

1,220円前後

月収への影響は? (1日8時間・月20日勤務の場合)

+9,120円/月 の増加!

(1,220円 - 1,163円) × 8時間 × 20日

全国の状況 (2024年10月時点)

最高額

東京: 1,163円

最低額

秋田: 951円

全国平均

全国加重平均: 1,055円

「2025年に全都道府県で1,000円超え」が目標。地方の賃金底上げが加速し、地域間格差の是正が進むかが焦点です。

各団体の声 (経済界 vs 労働界)

経済界 (使用者側)

基本姿勢:賃上げの流れは容認しつつも、急激な上昇には懸念。

  • 企業の支払い能力を重視すべき。
  • 特に中小・零細企業への影響を配慮する必要がある。
  • 原材料費高騰分の価格転嫁が不可欠。
  • 生産性向上を支援する政府の施策とセットで進めるべき。

労働界 (労働者側)

基本姿勢:物価高騰を上回る大幅な引き上げを強く要求。

  • 「人たるに値する生活」を保障するセーフティネットとして機能させるべき。
  • 全国どこでも時給1,500円以上を早期に実現すべき。
  • 大企業の利益を取引価格の適正化を通じて中小企業・労働者に還元すべき。
  • 非正規雇用労働者の生活を支える上で極めて重要。

私たちはどうすればいい?(企業・労働者への影響)

企業側 (事業主) の対応

給与体系の確認・見直し

時給・日給・月給の全従業員が、改定後の最低賃金を下回らないか確認。特に残業代の基礎時給にも注意が必要です。

助成金の活用検討

事業場内最低賃金を引き上げる企業向けの「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」などの活用を検討しましょう。

生産性向上への取り組み

ITツール導入や業務フローの見直しを行い、人件費上昇を吸収できる体制づくりが中長期的に重要になります。

労働者側 (従業員) のポイント

給与明細の確認

10月1日以降の給与(通常は10月締め・11月払い分から)が、新しい最低賃金を下回っていないか必ず確認しましょう。

「年収の壁」への意識

時給アップにより、意図せず扶養の範囲(103万、106万、130万円など)を超える可能性があります。働き方を調整するか、扶養を外れて働くか検討が必要です。

疑問があれば相談を

もし最低賃金を下回っている疑いがあれば、会社の担当者や、地域の労働基準監督署に相談できます。