本質から理解する数学・図解解説

やり方を暗記する前に! 正負の数の減法(引き算)の仕組み

「正負の数の引き算」はどうして符号が変わるのでしょうか?「引く=逆の動きをする」という数直線のイメージから、一緒に考えてみましょう。

0. 準備:「言葉の言い換え」マジック

計算のルールを学ぶ前に、私たちが普段使っている言葉で「引き算」と「足し算」の不思議な関係を確認してみましょう。

例え話①:テストの点数

「テストの点数が \(-5\) 点上がった
これって、普通に言うと「テストの点数が \(+5\) 点落ちた(下がった)」と同じことですよね。
つまり、「負の数を足す(上がる)こと」と「正の数を引く(下がる)こと」は同じ結果になります。

例え話②:気温の変化

「今日の気温は昨日より \(-5^\circ\mathrm{C}\) 上がった
これも、「昨日より \(+5^\circ\mathrm{C}\) 下がった」と全く同じ意味です。

このように、「(+)を引く」ことは「(-)を足す」ことと同じ意味になります。逆に、「(-)を引く」ときは、真逆の真逆になるので「(+)を足す」ことと同じになります。この感覚を持ったまま、数直線の移動を見ていきましょう!

💡 用語:減法(げんぽう)と差

数学では、引き算のことを減法(げんぽう)と呼び、その答えのことを「差(さ)」と言います。

💡 引き算=逆の動き

正負の数の引き算は、「その移動を取り消す」あるいは「逆の動きをする」と考えます。

1. 同符号の減法(同じ符号の数を引く)

それでは、符号が同じ数同士の減法(引き算)について考えてみましょう。
東へ進むことを「+」、西へ進むことを「-」とします。「引く」ということは、車のバックのように「反対向きに動く(取り消す)」と考えます。

計算例①: \( (+3) - (+5) \)

東へ3歩(\( +3 \))」進んだあと、「東へ5歩(\( +5 \))」進むのを取り消します(引きます)
東へ進むのを取り消すということは、反対向きにUターンして「西へ5歩(\( -5 \))」進むのと同じことですね。
つまり、計算式は \( (+3) + (-5) \) の足し算(加法)に変わります。
東へ3歩、西へ5歩なので、結果はスタート地点から「西へ2歩」の位置になります。
よって、答えは \( -2 \) です。

▼ \( (+3) - (+5) \) のイメージ図(東へ進むのを取り消す=西へ戻る)

0 (スタート) +3 -2 (+3) -(+5) = (-5)
計算例②: \( (-3) - (-5) \)

次はマイナスを引く場合です。
西へ3歩(\( -3 \))」進んだあと、「西へ5歩(\( -5 \))」進むのを取り消します。
西へ進むのを取り消すということは、反対向きにUターンして「東へ5歩(\( +5 \))」進むのと同じことになります。
つまり、計算式は \( (-3) + (+5) \) に変わります。
西へ3歩、東へ5歩なので、結果はスタート地点から「東へ2歩」の位置になります。
よって、答えは \( +2 \) です。

▼ \( (-3) - (-5) \) のイメージ図(西へ進むのを取り消す=東へ進む)

0 (スタート) -3 +2 (-3) -(-5) = (+5)
🚗 例①のプロセス:正の数を引く

\( -(+5) \Rightarrow +(-5) \)

前(東)を向いてバック = 西へ進む ↓ 全く同じ動き ↓ 後ろ(西)を向いて前進 = 西へ進む

つまり、「正の数を引く」ことは「負の数を足す」ことと同じ動きになります。

🚗 例②のプロセス:負の数を引く

\( -(-5) \Rightarrow +(+5) \)

後ろ(西)を向いてバック = 東へ進む ↓ 全く同じ動き ↓ 前(東)を向いて前進 = 東へ進む

つまり、「負の数を引く」ことは「正の数を足す」ことと同じ動きになります。

用語のおさらい:絶対値

「+」や「-」の符号を取った数字の部分のこと。原点(0)からの距離、つまり「何歩進んだか」を表します。

2. 異符号の減法(違う符号の数を引く)

今度は、プラスとマイナスが混ざった引き算です。考え方は同じで、「引く=逆の動き(足し算に直す)」を適用します。

計算例③: \( (-3) - (+5) \)

西へ3歩(\( -3 \))」進んだあと、「東へ5歩(\( +5 \))」進むのを取り消します。
東へ進むのを取り消すので、逆の「西へ5歩(\( -5 \))」進むことになりますね。
計算式は \( (-3) + (-5) \) の足し算に変わります。
西へ3歩、さらに西へ5歩なので、結果はスタート地点から「西へ8歩」の位置になります。
よって、答えは \( -8 \) です。

▼ \( (-3) - (+5) \) のイメージ図(東へ進むのを取り消す=さらに西へ進む)

0 (スタート) -3 -8 (-3) -(+5) = (-5)
計算例④: \( (+3) - (-5) \)

東へ3歩(\( +3 \))」進んだあと、「西へ5歩(\( -5 \))」進むのを取り消します。
西へ進むのを取り消すので、逆の「東へ5歩(\( +5 \))」進むことになります。
計算式は \( (+3) + (+5) \) の足し算に変わります。
東へ3歩、さらに東へ5歩なので、結果はスタート地点から「東へ8歩」の位置になります。
よって、答えは \( +8 \) です。

▼ \( (+3) - (-5) \) のイメージ図(西へ進むのを取り消す=さらに東へ進む)

0 (スタート) +3 +8 (+3) -(-5) = (+5)
🚗 例③のプロセス:正の数を引く

\( -(+5) \Rightarrow +(-5) \)

前(東)を向いてバック = 西へ進む ↓ 全く同じ動き ↓ 後ろ(西)を向いて前進 = 西へ進む

つまり、例①と同様に「正の数を引く」ことは「負の数を足す」ことと同じ動きになります。

🚗 例④のプロセス:負の数を引く

\( -(-5) \Rightarrow +(+5) \)

後ろ(西)を向いてバック = 東へ進む ↓ 全く同じ動き ↓ 前(東)を向いて前進 = 東へ進む

つまり、例②と同様に「負の数を引く」ことは「正の数を足す」ことと同じ動きになります。

3. 結論:減法は加法に直して計算しよう

ここまで見てきたように、引き算(減法)はすべて「逆の動きをする足し算(加法)」に変換できることがわかります。
「引く数の符号を変えて、足し算にする」というルールを使うことで、減法はすべて加法と同じように計算できるようになります。

正負の数の減法(引き算)のルール

  • 引く数の符号を変えて、加法(足し算)に直して計算する。
例①: \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}3) \) \( \boldsymbol{-} \) \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}5) \) \( = \) \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}3) \) 足し算に直す \( \boldsymbol{+} \) 符号を逆にする \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}5) \) \( = \) \( \colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}2 \)
例②: \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}3) \) \( \boldsymbol{-} \) \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}5) \) \( = \) \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}3) \) 足し算に直す \( \boldsymbol{+} \) 符号を逆にする \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}5) \) \( = \) \( \colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}2 \)
例③: \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}3) \) \( \boldsymbol{-} \) \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}5) \) \( = \) \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}3) \) 足し算に直す \( \boldsymbol{+} \) 符号を逆にする \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}5) \) \( = \) \( \colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}8 \)
例④: \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}3) \) \( \boldsymbol{-} \) \( (\colorbox{#e0f2fe}{$\textcolor{#0369a1}{-}$}5) \) \( = \) \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}3) \) 足し算に直す \( \boldsymbol{+} \) 符号を逆にする \( (\colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}5) \) \( = \) \( \colorbox{#fee2e2}{$\textcolor{#b91c1c}{+}$}8 \)
🧠 思考のポイント

「引き算」という新しいルールを丸暗記しようとする必要はありません。

引き算を見つけたら、引く数の符号を逆にして、足し算の式に変換する。この一手間をかけるだけで、あとは今まで習った「加法のルール」だけで全て解けるようになります!

🎯 まとめ:頭の中のステップ

減法(引き算)の式を見たら、次のステップで加法(足し算)に変身させましょう!

  1. 真ん中の「マイナス(引く)」を「プラス(足す)」に変える!
  2. 直後の数の符号を逆にする!
    (+なら-に、-なら+に)
  3. あとは加法と同じルールで計算するだけ!