「両辺の対数をとるとは?」
$a = b \implies \log_c a = \log_c b$
が成り立つ理由
「両辺の対数をとる」という操作の意味を丸暗記するのではなく、
対数の定義とグラフの形(1対1対応)から、この性質を視覚的に解き明かします。
1. 対数の「定義」を思い出そう
対数とは、そもそも次のような関係性を表すための記号です。
「$c$ を何乗したら $a$ になるか?」を $x$ とすると…
※前提として、$a > 0, b > 0$、底 $c > 0, c \neq 1$ とします。
- $c^x = a$ を満たす指数 $x$ のことを $\log_c a$ と書きます。
- 同様に、$c^y = b$ を満たす指数 $y$ は $\log_c b$ と書けます。
2. 論理のステップ(式変形)
定義に沿って文字を置く
上で確認した通り、$c^x = a$ なら $x = \log_c a$。同様に、$c^y = b$ なら $y = \log_c b$ です。
前提条件 $a = b$ に当てはめる
スタート地点の $a = b$ という式に、Step 1 の $a$ と $b$ を代入します。
指数関数の性質(1対1対応)を使う
指数関数は「計算結果が同じなら、元の指数も絶対に同じになる」という性質があります。したがって $c^x = c^y$ ならば:
最後に $x$ と $y$ を元の形に戻せば、$\log_c a = \log_c b$ が導かれます。
きちんとした証明(数学的記述)
【証明】
対数の定義より、$c^x = a$ を満たす実数 $x$ は $x = \log_c a$ と表される。
同様に、$c^y = b$ を満たす実数 $y$ は $y = \log_c b$ と表される。
仮定より $a = b$ であるため、それぞれを代入して以下の等式を得る。
ここで、底 $c$ について $c > 0$ かつ $c \neq 1$ であるため、指数関数 $f(t) = c^t$ は単射(1対1の対応)である。
したがって、$c^x = c^y$ より以下の等式が成り立つ。
最後に、$x$ と $y$ を元の対数の表記に戻すことで、次式を得る。
(証明終)
3. グラフを用いた視覚的な証明
STEP 3 の「結果が同じなら、元も同じ(1対1対応)」という性質を、グラフで見てみましょう。
アプローチ1: 指数関数のグラフ
グラフが右肩上がりの「1本の線」であるため、縦軸の高さ($a=b$)を決めたとき、ぶつかる点は1箇所しかありません。だから横軸($x=y$)も1つに決まります。
アプローチ2: 対数関数のグラフ
横軸は入力値です。$a=b$ ということは「横軸上のまったく同じ場所に立っている」ということ。同じ場所からグラフを見上げれば、結果の高さ($\log_c a$ と $\log_c b$)も当然一致します。
結論
数式による論理的な変形からでも、グラフの直感的なイメージからでも、
「$a=b$ という同じ値からは、必ず1つの同じ対数の値しか導かれない」
ことが分かります。
これが、「両辺の対数をとってもよい」と言われる本当の理由です。