本質から理解する数学・図解解説

「両辺の対数をとるとは?」 $a = b \iff \log_c a = \log_c b$ が成り立つ理由

「両辺の対数をとる」操作の意味を丸暗記するのではなく、対数の定義グラフの形から視覚的に解き明かします。

1. 対数の「定義」を思い出そう

対数とは、そもそも次のような関係性を表すための記号です。

「$c$ を何乗したら $a$ になるか?」を $x$ とすると…

$$c^x = a \iff x = \log_c a$$
  • $c^x = a$ を満たす指数 $x$ のことを $\log_c a$ と書きます。
  • 同様に、$c^y = b$ を満たす指数 $y$ は $\log_c b$ と書けます。
必須の前提条件

対数を扱う際は、必ず以下の「真数条件」と「底の条件」を満たす必要があります。これらは証明や計算を進めるための大前提となります。

【真数条件】 $a > 0, \quad b > 0$
【底の条件】 $c > 0$ かつ $c \neq 1$

💡 具体例で考えてみよう

  • $2^3 = 8 \iff 3 = \log_2 8$
    (「2を3乗すると8になる」 = 「2を何乗したら8になる? 答えは3」)
  • $3^2 = 9 \iff 2 = \log_3 9$
    (「3を2乗すると9になる」 = 「3を何乗したら9になる? 答えは2」)

2. 論理のステップと証明

なぜ $a=b$ ならば対数をとっても同じになるのか、証明を追ってみましょう。

【本題】 $a=b \implies \log_c a = \log_c b$

STEP 1: 定義に沿って文字を置く

上で確認した通り、$c^x = a$ なら $x = \log_c a$。同様に、$c^y = b$ なら $y = \log_c b$ です。

STEP 2: 前提条件 $a = b$ に当てはめる

スタート地点の $a = b$ という式に代入します。

$$c^x = c^y$$
STEP 3: 指数関数の性質を使う

指数関数は「計算結果が同じなら元の指数も同じになる」性質があります。したがって $c^x = c^y$ ならば:

$$x = y$$

最後に $x, y$ を元の形に戻せば、$\log_c a = \log_c b$ が導かれます。

✍️ きちんとした証明

【証明】
$a, b$ を正の実数とし、$a = b$ と仮定する。実数 $x, y$ をそれぞれ $x = \log_c a$、$y = \log_c b$ とおく。

対数の定義より、これらはそれぞれ以下の等式を意味する。

$$c^x = a \quad \text{かつ} \quad c^y = b$$

仮定より $a = b$ であるため、それぞれを代入して等式をつなぐと以下を得る。

$$c^x = c^y$$

底 $c$ について $c > 0$ かつ $c \neq 1$ なので、指数関数 $f(t) = c^t$ は単射である。したがって:

$$x = y$$

最後に、$x$ と $y$ を元の対数の表記に戻すことで、次式を得る。

$$\log_c a = \log_c b$$

(証明終)

【逆】 $\log_c a = \log_c b \implies a = b$

「逆」の証明は、指数関数の性質に頼る必要すらなく、対数の定義をそのまま当てはめるだけでシンプルに導き出せます。

STEP 1: 前提条件から文字を置く

スタート地点である $\log_c a = \log_c b$ を $x$ と置きます。

$$x = \log_c a = \log_c b$$
STEP 2: 対数の定義を使う

$x = \log_c a$ より $c^x = a$。同様に $x = \log_c b$ より $c^x = b$ となります。

STEP 3: 式をつなぐ

$a$ も $b$ も、どちらも同じ値である $c^x$ に等しいため:

$$a = c^x = b$$

これにより $a = b$ が導かれます。

✍️ きちんとした証明

【証明】
$a, b$ を正の実数とし、$\log_c a = \log_c b$ と仮定する。この実数値を $x$ とおくと、

$$x = \log_c a \quad \text{かつ} \quad x = \log_c b$$

対数の定義より、前式からは $c^x = a$ が、後式からは $c^x = b$ が得られる。これら2つの等式より、$c^x$ を介して次式が成り立つ。

$$a = b$$

(証明終)

💡 学習のポイント

「両辺の対数をとる」という操作は、方程式を解く際に頻繁に登場します。これは魔法のテクニックではなく、「両辺に同じ関数 $f(x) = \log_c x$ を適用しているだけ」と捉えるのが、数学的な正しい理解です。

📚 コラム:なぜ逆も成り立つ?

グラフが「1対1の対応(単射と呼びます)」をしているということは、

「出力結果が同じなら、
元々の入力も同じだったはず」

という逆の論理も必ず成り立ちます。

したがって、$\log_c a = \log_c b \implies a = b$ も真となり、両方向が成り立つため 同値($\iff$) で結ぶことができるのです。

3. グラフを用いた視覚的な証明

「両辺の対数をとる」操作は、「同じ値を関数に入力すれば、同じ結果が出力される」という大原則に過ぎません。これをグラフで確認しましょう。

Case 1. 指数関数の場合

0 x (入力) y (出力) ca = cb a = b y = cx
💡 グラフにおける入力と出力

関数 $y = c^x$ において、横軸は「入力(元の数:$a, b$)」、縦軸は「出力(指数の値)」を表します。

入力である横軸の場所($a=b$)が同じなら、グラフを縦にたどってぶつかる出力である縦軸の高さ($c^a = c^b$)も必ず1つに決まります。

Case 2. 対数関数の場合

0 x (入力) y (出力) a = b logc a = logc b y = logc x
💡 グラフにおける入力と出力

本題の関数 $y = \log_c x$ においても、横軸は「入力(元の数:$a, b$)」、縦軸は「出力(対数の値)」です。

全く同様に、入力である横軸の場所($a=b$)が同じなら、出力である縦軸の高さ($\log_c a = \log_c b$)も1つに決まります。

最終結論

数式による論理的な変形からでも、グラフの直感的なイメージからでも、
「$a=b$ という同じ値からは、必ず1つの同じ対数の値しか導かれない」
ことが分かります。

$$a = b \iff \log_c a = \log_c b$$