JR横須賀線・湘南新宿ライン 鶴見駅停車問題の徹底調査と課題

利便性向上への長きにわたる道のり

鶴見駅の概要

鶴見駅は神奈川県横浜市鶴見区に位置し、JR東日本の駅です。乗り入れている路線は、東海道本線、鶴見線、武蔵野線、南武線の4路線です。京浜東北線と鶴見線の電車が停車するほか、東海道線、上野東京ライン、湘南新宿ライン、横須賀線、相鉄線直通列車など、多数の列車が通過します。また、東海道貨物線や武蔵野線、南武線を走る貨物列車も経由する、鉄道運行における重要な拠点です。

📜 歴史的背景と利用状況

1872年

日本で6番目に古い駅として開業。

現在

一日あたりの乗降客数は約12万人に上り、横浜市北西部における町の中心地として機能。

🏢 駅の構造と役割

駅構内には、京浜東北線の島式ホーム2面4線と、鶴見線の単式ホーム1面1線が設置されています。中距離列車はこれらのホームに挟まれた線路を通過しており、停車するためのホームはありません。

駅周辺にはJR東日本ホテルメッツ横浜鶴見などのビジネスホテルや、区の総合庁舎、税務署、警察署といった公共施設が多数立ち並び、地域の中心地として重要な役割を担っています。

なぜ横須賀線などの中距離列車は鶴見駅に止まらないのか?

鶴見駅には、鶴見線と京浜東北線の電車しか停車しません。駅構内図を見ても、鶴見線と京浜東北線専用のホームしかなく、横須賀線や湘南新宿ラインなどの路線にはホームが設置されていません

中距離列車の通過と駅間の長さ

東海道線、湘南新宿ライン、相鉄線直通列車は鶴見駅を通過します。例えば相鉄線直通列車は、羽沢横浜国大駅から約16.6km離れた武蔵小杉駅までノンストップで走行します。また、横須賀線が横浜駅から武蔵小杉駅までノンストップで走行した場合は、約12.2kmとなります。この長い駅間は、横須賀線が鶴見駅を通過し、中距離輸送を優先していることの表れです。

主な中距離列車のノンストップ走行距離 (km)

京浜東北線と東海道線の役割分担

東海道線は中距離移動を担い、駅間が長い

京浜東北線は短距離移動を担い、駅間が短い

横浜-品川間の停車駅数

路線の全長と役割

路線の全長は、その路線が担う役割(中距離・長距離輸送、または短距離通勤)を決定づける重要な要素です。横須賀線や東海道線など、長距離輸送を担う路線は、通勤路線である京浜東北線とは異なる運行体系を持っています。

主な路線の総営業キロ (km)

横須賀線・湘南新宿ライン 鶴見駅停車実現への動き

鶴見駅への停車を求める動きは、昭和後期から鶴見駅のある横浜市が中心となって行われてきました。

📜 歴史的な要望活動

当初は横須賀線の停車を求めていましたが、進展がなかったため、2019年の相鉄線直通運転開始に伴い、相鉄線直通列車をターゲットに要望を絞っています。これは、横須賀線が鶴見に停車することで得られる利便性を追求するものです。

📈 利便性向上の必要性

鶴見駅の乗車人数は横浜市内のJR駅で4番目に多く、新宿・渋谷・池袋といった副都心方面へのアクセス向上は利用者にとって大きなメリットとなります。特に湘南新宿ライン鶴見停車は、都心への利便性を飛躍的に高めます。

最新の動向(実証実験)

  • 横浜市が策定した「横浜市中期4か年計画2022-2025」において、JR横須賀線・湘南新宿ラインの鶴見駅停車京浜臨海部再編整備マスタープランの実現に向けた取り組みとして位置づけられています。
  • 2021年には、鶴見駅がJR東日本横浜支社管内要望路線として記載されました。
  • 2023年には、相鉄・JR直通線を利用した鶴見駅停車実証実験が行われ、技術的な実現可能性が示されました。
  • 実証実験では、ホーム設置に必要な土地や、通過線と停車線の切り替えなど、技術的な課題が詳細に検証されました。

横須賀線 鶴見駅停車 実現の課題と費用

横須賀線が鶴見駅に停車するためには、高いハードルが存在します。横須賀線が走る線路は鶴見線と京浜東北線のホームに挟まれており、ホーム設置は不可能です。

コストと工期(約200億円)

事業費は約180~200億円、工期は12~14年に及ぶ巨大プロジェクトです。大規模な線路の付け替えや高架化が必要となり、莫大な費用と長期間の工事が避けられません。国や自治体からの財政支援(請願駅方式、国庫補助)が前提となります。

貨物輸送への影響

貨物列車の着発線は現役で使われており、安易に廃止できません。これは、単線区間の補助的な役割を担っているためです。停車することで、ダイヤ全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

技術的な課題とホーム設置

横須賀線の線路はホームに挟まれており、物理的なホーム設置が困難です。そのため、既存のホームを改築するなどの抜本的な工事が不可欠となります。また、24時間稼働する貨物線の合間を縫って工事を進める必要があります。

停車による期待される効果

  • 交通利便性の向上(都心・副都心方面): 湘南新宿ライン経由で新宿・渋谷方面へ直通可能になり、大幅な時間短縮。千葉方面・成田空港方面への乗換なし直結も可能になります。
  • 交通利便性の向上(横浜市西部方面): 相鉄・JR直通列車で羽沢横浜国大・二俣川・海老名方面へのアクセスが向上。横浜駅を経由せずに相鉄線方面へ移動できる、新たな利便ルートが形成されます。
  • 輸送上のメリットと冗長性向上: 武蔵小杉~羽沢横浜国大駅間(17.6km)が二分割され、列車運行の柔軟性が向上。輸送障害発生時の折返し運転等が可能になり、ダイヤ乱れ時の復旧が円滑になります。
  • 横浜駅混雑緩和: 相鉄線から都心方面へ向かう乗客の一部が鶴見乗換えに分散。朝夕ラッシュ時の横浜駅の混雑緩和に寄与することが期待されます。
  • 新たな乗換拠点形成: 相鉄・JR直通線と鶴見線(海岸部への路線)との接続が生まれ、産業道路沿線・臨海部から相鉄線方面へのアクセスが向上します。
  • 所要時間の変化例: 鶴見~新宿間は現在の約45分から直通で約30分台に短縮。鶴見~羽沢横浜国大間は直通列車で約10分強になります。

FACT:

横浜市が2023年に行った実証実験では、ホーム設置が技術的に可能であるとのポジティブな結果が出ています。これは、今後の横須賀線 鶴見駅停車実現に向けた大きな一歩となります。